こんにちは、ねもと歯科クリニックの根本有紗です。
歯列矯正は健康にもいいし、治療をしたいけれど、表側には装置をつけたくない。でも、上下裏側矯正は値段が高いので何とかならないかな。
マウスピース矯正は何年間も1日20時間以上マウスピースをつけないといけないらしいけどそんな自信もないし、何かいい方法はないかな、と考えている方、ハーフリンガルという治療方法があります。
本日は費用を安く抑えられる目立たない矯正、ハーフリンガルブラケットについて解説していきます。
この記事の執筆者については『ねもと歯科クリニック院長紹介』をご覧ください。
目次
ハーフリンガルとは?
ハーフリンガルとはその名前の通り、半分リンガル(裏側矯正)で治療を行う方法です。
もう少し詳しく説明いたしますと、上の歯をリンガル(裏側)の矯正で行い、下の歯を表側のワイヤー矯正で治療を行う方法です。
人にもよりますが、一般的に人と話をしたりするときに見えるのは上の歯のみで、下の歯はほとんど見える事がないため、上の歯のみ裏側矯正を行うという方法も人気となっています。
また、患者様にとっては治療費用はフルリンガルと言われる上下裏側矯正を行うのと比較すると、値段が安くメリットがあります。
また、歯科医師にとっても下の裏側矯正は調整を行う時に舌にワイヤー等が刺さってしまったり、ボーイングエフェクトと呼ばれる前歯が引っ込みすぎてしまうという舌側矯正特有の問題を考える必要がないため、治療側にもメリットがあります。
ボーイングエフェクト
引用:ふかつ歯科・矯正歯科
前歯部を後方に移動する際、牽引力にワイヤーが負けて前歯部がたわんで下方向に垂れ下がり、奥歯の咬み合わせも不十分になってしまう現象
ハーフリンガル矯正のメリット
見えない矯正でありながら費用が比較的安い
歯列矯正は目立たない装置ほど料金が高くなる傾向にあります。
矯正治療の中で最も目立たないのがフルリンガル(上下舌側矯正)です。
しかし、フルリンガルは費用が高く、費用の相場は80万円~130万円ほどかかってしまいます。
フルリンガルと比較すると、目立ちやすい上の歯を裏側にできる矯正でありながら費用が10~20万円程度安くなるため、下の歯が話をしている時に見えない方やできるだけ費用を抑えて目立たない矯正を考えている方にはおススメの治療方法です。
表側矯正・マウスピース矯正と比較しても審美的
現在、表側矯正もセラミックや樹脂を使用した装置、白くコーティングした針金等を使用する事で金属の装置、金属の針金と比較するとかなり審美的な装置になりました。
しかし、矯正をしているかどうかわからないほどの審美性を表側の装置に求めるのは難しいので、他の人に矯正がばれたくない場合には表側の矯正は不向きです。
あとは近年インビザライン等のマウスピース矯正も治療をしている方が増えてきましたが、部分矯正でない場合にはアタッチメントと呼ばれる歯の表面の突起をつけたりする必要もありますし、マウスピース自体も全く見えないわけではありませんのでこちらも裏側矯正と比較すると審美性は劣ってしまいます。
フルリンガルに比べて舌が傷つきにくく発音もしやすい
フルリンガルは表側から矯正装置が見えないとても審美性の高い治療方法なのですが、下の歯の裏側は非常に舌の位置と近いので、舌を動かした時に装置に当たって傷がついてしまう事が多いです。
また、舌をどの位置に動かしても装置と当たるため、治療中のストレスも大きくなってしまう場合があります。
さらに、発音も歯の裏側に舌を当てたり舌を動かして発音する音もあるため、滑舌が悪くなったり、しゃべりにくくなります。
それに比べて、ハーフリンガルは下の歯は裏側に装置がないので上の歯の装置だけに気をつけて舌を動かせばよく、比較的慣れるのに時間がかかりにくいです。
また、発音に関しても、一部上の歯の裏側に舌を当てて発音する音もあるため、滑舌が悪くなる事もありますが、こちらも上下裏側矯正と比較すると各段にストレスは少ないです。
治療期間がフルリンガルに比べて短い
裏側矯正は表側矯正と比べて最後のディテーリングと呼ばれる微調整に時間がかかってしまう事があります。
理由は、裏側から針金を細かく曲げて歯の表側をきれいにする方法なので、直接表側の針金で調整するより技術が必要になってきます。
特に下の歯は骨も硬く、下の前歯は歯が小さく装置と装置の距離も近いので、裏側からの微調整が比較的難しいです。
そのため、調整が比較的難しい下の歯の装置を表側につける事で微調整が早く終了する可能性があります。
ハーフリンガル矯正のデメリット
下の歯が日常的に見えやすい人には不向き
普段会話をしたりする時に上の歯が見える人が多いのですが、中には下の歯が主に見える方がいらっしゃいます。
上の歯は裏側に装置をつけて、下の歯は表側に装置をつけるのがハーフリンガルですので、下の歯が表側に装置がついていると話をする時に見えやすい下の歯の装置が目立ってしまいますので、ハーフリンガルは向いていません。
会話をするときに上の歯が見えるか、下の歯が主に見えるか、鏡を見て口を動かしてみていただくとよいでしょう。
高度な技術が必要なためできるクリニックが限られる
ハーフリンガル矯正や裏側矯正は表側矯正やマウスピース矯正と比べ、技術の習得にすごく時間がかかってしまう治療です。
マウスピース矯正は、裏側矯正はもちろん表側のワイヤー矯正の治療もできない先生が、マウスピース専門クリニックとして開院してしまっている所があるほど敷居の低い治療の一つです。
また、表側矯正はワイヤー矯正ができるクリニックであればほぼ全てのクリニックで治療が可能なのですが、ハーフリンガル矯正や裏側矯正は大学の矯正科でもやっていない所も多く、技術を習得するにはハーフリンガル矯正や裏側矯正を多く行っているクリニックで勤務し、技術を習得する事が必要となります。
そのため、ハーフリンガル矯正や裏側矯正は治療を行っている歯科医院が少なく、人気があるため一応メニューとして出しているものの、カウンセリングでこの歯はハーフリンガルや裏側矯正は適応ではないと言われてしまう事もあります。
一般的にハーフリンガルや裏側矯正に適応ではない症例というのはあまりありませんので、ハーフリンガルや裏側矯正は適応ではない、と言われた場合は本当に適応ではないのではなく、そのクリニックで治療が難しいという意味と受け取った方がよいかもしれません。
ハーフリンガル矯正ができない場合もある
歯並びの状態でハーフリンガル矯正ができない症例というのはほとんどないのですが、子どもの場合、歯の歯茎から出ている量(萌出量)が少ないため、歯の裏側に装置がつけられない事があります。
その子によって歯の歯茎から出ている量は違うので、お子さんでハーフリンガル矯正や裏側矯正をご検討の親御さんは一度カウンセリングで聞いてみるとよいでしょう。
表側矯正と比較すると滑舌が悪くなる事がある
話をするときに一部の発音は歯の裏側に舌をつけて音を出す必要があります。
そのため、歯の裏側に装置のあるハーフリンガル矯正や裏側矯正、マウスピース矯正は治療中、滑舌が悪くなってしまう事があります。
たくさん話をしていくと、舌の使い方も変わってくるため慣れてくる方がほとんどなのですが、慣れるまで少し滑舌が悪くなったと感じてしまう事があります。
しかし、矯正器具も昔のものと比較するとハーフリンガル矯正や裏側矯正の器具はかなり小さくなってきていますので、発音のしにくさや舌の違和感はかなり改善されています。
ハーフリンガル矯正の治療の流れ
ハーフリンガル矯正は表側矯正やマウスピース矯正とは少し治療の流れが違う部分がありますので、ご説明していきます。
1.資料採り
まずは全ての矯正治療に共通の資料採りです。
口の中の写真、お顔の写真、レントゲン、歯型等をおとりして、どのような治療を行うのが一番キレイに歯並びが治るのか分析をするのに使用します。
この資料の中の患者様の歯の模型を使ってハーフリンガル矯正の場合には治療終了時を想定したセットアップと言われる歯並びがきれいになった患者様の模型を作製します。
その作製した模型を基にして裏側の装置の位置をオーダーメイドで決めていきます。
歯の表側の場合には歯の形や装置を装着する位置は個人差が少ないため歯の真ん中に装置を装着すると問題なく歯がきれいに並ぶのですが、ハーフリンガルや裏側矯正の場合には歯の裏側の形は人によって個人差が大きいため、オーダーメイドで装置の位置を決める必要があります。
2.装置の装着・抜歯
資料により治療計画の説明を受け、その説明に納得すれば、装着の装着や抜歯に移っていきます。
ハーフリンガルの場合には、オーダーメイドで装置の位置を決定しているため、資料採りからこの装置の装着や抜歯に入るまでに、数週間〜1ヶ月ほどかかります。
ねもと歯科クリニックでは一般歯科も行っているクリニックですので、装置の装着と抜歯を同日に行わせていただくこともできますが、矯正専門のクリニックですと抜歯は別の一般歯科をおこなっているクリニックで、自由診療で治療をしてもらう必要があります。
装着の装着は一般的に2回に分けて行います。
ねもと歯科クリニックでは、1回目の装着の1週間後以降で2回目の装着を行います。
3.器具の調整
装置の装着と抜歯が終了しましたらあとは歯並びがきれいになるまで約1か月に1回、針金やゴムを交換する器具の調整で通院となります。
針金やゴムを外した際には歯のクリーニングを行ってくれるクリニックもあります。
ねもと歯科クリニックでも虫歯や歯肉炎の予防のため、針金やゴムを外した際に普段では届きにくい装置周りのクリーニングを行っています。
4.装置の除去・保定
歯並びやかみ合わせがよくなり、装置を除去してもいいという状態になれば、その場で全ての装置を外していきます。
保定装置の装着方法やスケジュールはクリニックによって差がありますが、ねもと歯科クリニックでは装置除去の当日に保定装置の装着やお渡しを全て行います。
ハーフリンガル矯正の治療期間について
ハーフリンガル矯正の治療期間は治療方法にもよりますが、約2~3年程度である事が多いでしょう。
一般的に非抜歯の方が半年~1年程度治療期間が短縮されます。
また、アンカースクリューで全ての歯を後ろに下げたり、埋まっている歯を引っ張り出したり等の治療が追加で必要な場合には、さらに治療期間がのびてしまう場合がありますので注意が必要です。
『矯正治療におけるアンカースクリュー』についてはこちらの記事も併せてご覧ください。
ねもと歯科クリニックでは治療期間の短縮に力を入れていますため、ハーフリンガル矯正でも平均2年程度で治療が終了しています。
ハーフリンガル矯正の費用の相場
ハーフリンガル矯正は住んでいる場所によって相場は変わってきますが、東京ですと90万円~130万円。
私たちが開業しています札幌では60万円~100万円くらいと幅広いです。
ねもと歯科クリニックでは60万円でハーフリンガルの治療をご提供しております。
『ねもと歯科クリニックの裏側矯正』についてはこちら
まとめ
本日はハーフリンガル矯正についてご説明をさせていただきました。
ハーフリンガル矯正は上の歯の装置を裏側につけて治療を行うため、普段会話をしたりして歯が見えるようなシーンであまり下の歯が見えない方には審美的で機能的でさらに費用も抑えられるというとても魅力的な治療方法です。
しかし、ハーフリンガル矯正の技術を習得している先生が限られているため、治療できる医院はマウスピース矯正やワイヤー矯正と比べるとかなり少ないです。
札幌やその近郊でハーフリンガル矯正を行っているクリニックをお探しの方はねもと歯科クリニックでもハーフリンガル矯正を行っており、経験豊富な院長がマンツーマンで相談や治療を行っています。
費用も60万円+税(66万円)と良心的な価格設定でありながら最新の違和感の少ない小型のセルフライゲーション式の装置を採用しています。
無料相談も行っておりますので、ご連絡お待ちしております。
ねもと歯科クリニック|札幌・大通りエリアの矯正歯科
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