矯正治療を受けるにあたっての虫歯に関する疑問あれこれ

矯正治療と虫歯の説明をする歯科医

こんにちは、ねもと歯科クリニック院長の根本有紗です。
矯正治療を考えているけれど、
虫歯があったら歯列矯正の相談はできないの?
矯正治療中は虫歯になったらどういう流れで治療をするの?
矯正治療中は普段より虫歯になりやすい?
など、色々と矯正治療と虫歯について、わからない事も多いですよね。
ねもと歯科クリニックでも、とても多くの矯正治療の患者様から虫歯に関する相談を受けています。

そのため、本日は虫歯と矯正治療について、ご質問いただく事の多いポイントを中心に色々とご説明していきます。
矯正治療相談前の虫歯の治療や、矯正治療中の虫歯などについて参考になると嬉しいです。

こちらの記事の執筆者については『ねもと歯科クリニック院長紹介』をご覧ください

矯正相談前に虫歯があっても相談できる?

まずは「虫歯があっても矯正治療の相談ができるのか?」という事についてです。
それについては、矯正歯科専門のクリニックなのか、一般歯科も行っているかで変わってきます。

一般歯科は、矯正歯科や審美歯科といった特殊な治療を除く虫歯治療や根管治療、歯周病治療などを中心に、親知らずの抜歯や入れ歯の製作など一般的な口腔内トラブル全般に対応する歯科のことです。

参考:一般歯科とは?|デンタルワーカー

一般歯科診療を行っていない歯科医院の場合

一般的に矯正専門の先生は、虫歯治療や一般診療の経験のほとんどない先生も多いです。
虫歯のままの状態で矯正相談に行くと、どの歯が抜かないといけない虫歯なのか、治療が難しい虫歯なのか等を判断する事が難しく、治療の相談が複雑になってしまう場合があります。
そのため、矯正専門のクリニックに行く前には、虫歯を一通り治療してしまってから相談にいくのがよいでしょう

一般診療を行っていない矯正専門のクリニックの先生に、虫歯もあるかを併せて診てもらいたいというのは難しい場合があります。
虫歯があるかどうかに関しては、別途一般診療を行っているクリニックで診てもらうのがよいでしょう。

一般歯科診療も行える先生の場合

矯正歯科と一般歯科を両方行っているクリニックでは、虫歯治療前にカウンセリングを受けても構いません
先に全ての治療を行いますと、場合によっては矯正で抜歯する歯まで治療を行ってしまうこともありますので、その場合は治療費や期間が無駄になってしまいます。

神経を抜いて被せる治療ですと、保険診療でも2か月程度かかり、治療費は保険治療の3割負担でもトータル1万5千円程度負担しないといけませんから、これから高額な矯正治療を考えている方には少しでも余計な負担を減らしたい事と思います。

また、だいたいであれば「悪くなっていて抜かないといけなさそう」「ここは小さい虫歯だから、簡単な治療で済みそう」といった、およその治療の見当がつくので、虫歯治療前に現在虫歯の歯はどうなるかを推定して治療計画を立ててもらえる場合があります。
ただし、治療をしてみないと残せるかどうか微妙な歯であったり、実際に虫歯を治療する先生が変われば、多少の治療内容は変わってくる場合がありますので、そのあたりは了承していただく必要があります。

虫歯があっても矯正治療を行う事は可能?

それでは虫歯のまま矯正治療を行う事は可能なのでしょうか?

虫歯の大きさや進行度合いによっては矯正を中断すると時間が大幅にロスしてしまうなどの理由で、矯正専門のクリニックでは、虫歯になったり小さい虫歯が見つかっても、矯正治療を仕上げる事を優先し虫歯はそのまま経過をみる事があります。

虫歯は数日でできるものではなく、中には数年間かけてゆっくり大きくなっているものもありますので、小さなものから大きいものまで虫歯は見つかり次第すぐに治療しないといけないという事もありません

ただし、虫歯が大きくなってしまい、神経の治療が必要になったり抜歯が必要になってしまったりという事になりますと、治療にも時間やお金がかかってしまう場合もありますので、担当の先生としっかり相談をして状態を確認し、大きい虫歯はできるだけ早く治療をするようにしましょう。

矯正治療中は虫歯になり易い?

では、矯正治療期間中は虫歯になりやすいのでしょうか?

一般的には、今までなかったブラケットやワイヤー、マウスピースなどがお口の中に入り、装置の周りに歯垢が溜まり易い状況になったり、マウスピースや装置がお口の中にあることで歯の周りに唾液の虫歯予防の効果が効きにくくなってしまいますので、全体的には虫歯になりやすくなるリスクがあると言ってよいでしょう

特にお子さんや10代の方は矯正治療中の虫歯になる確率がとても高いです

なぜかと言いますと、生えて間もない大人の歯は柔らかく虫歯の進行がとても早いからです。
それに加えて、大人のようにしっかり丁寧に歯磨きができるお子さんは少ないかと思いますので、矯正中のお子さんはかなり注意してクリニックでもみていき、またご自身でのブラッシングもしっかり行う必要があります。

そして、大人であっても虫歯へのなり易さやなり易い場所は、矯正装置によってかなり特徴がありますので、それぞれの装置について説明していきます。

表側のワイヤー矯正

表側のワイヤー矯正の場合には、装置の周りに虫歯ができる事が多いです。

元々はつるつるしていた面であったため、しっかり磨かなくてもあまり汚れが着かなかった歯の表面が装置が着く事で装置との境目に汚れが溜まりやすくなります。
歯垢が溜まって、何日もその状態になると、菌によって歯の表面から溶けていき、虫歯になっていきます。

表側のワイヤー矯正』についてはこちらから

裏側のワイヤー矯正

裏側は唾液の通り道になる事が多く、意外と虫歯にはなりにくいです。

しかし、虫歯になりにくいからと言って歯磨きが不十分な状態が続くと歯肉炎になり、歯茎が盛り上がってきます。
歯茎の盛り上がりによって、装置が歯茎の中に埋まってしまう事があります。
こうなると毎回の調整の時、装置を調整するときに歯茎の中に器具を入れないといけなくなるため強い痛みを伴う場合があります。

治療を快適に受けるためにも裏側矯正でもしっかりと歯磨きをするようにするのがよいでしょう。
また、絶対に虫歯にならないわけでもありませんので注意が必要です。

裏側のワイヤー矯正』についてはこちらから

マウスピース矯正

こちらは「マウスピースを取り外して歯磨きができるから虫歯はできにくいのでは?」と思っていらっしゃる方もいますが、そうではありません。

マウスピース矯正は食事の後歯磨きをせずそのままマウスピースを戻してしまうと、そのあとマウスピースの中は唾液が入り込んできれいにしてくれないため、虫歯になってしまう事も多いです。
特に歯と歯の間に食べかすが詰まったままの場合には、歯と歯の間から虫歯ができる事が多いのがマウスピース矯正の虫歯の特徴です。

現在、インビザライン等マウスピース矯正で有名なもののほとんどは、1日に20時間以上、クリニックによっては22時間以上マウスピースを装着をしないとしっかり治りませんよ、と言われているものが多く、外せる時間は限られているため、食事後すぐに歯磨きができる環境を整えるのはとても大切になってきます。
逆にその環境が整えられない場合には、マウスピース矯正以外の治療を検討するのも一つの方法です。

マウスピース矯正』についてはこちらから

矯正治療中に虫歯になってしまった場合にはどうしたらいい?

ブラッシングを頑張っていても、虫歯になりやすい人はどうしても虫歯になる場合がありますし、歯と歯の間の小さい虫歯や歯並びが悪くて隠れていた小さい虫歯が矯正治療中に見つかってしまうケースもあります。

病院によって対応は分かれますが、矯正専門のクリニックでは矯正治療が一旦中断となり、別の一般治療を行っているクリニックで虫歯治療を行い、虫歯治療が終了したら矯正治療が再開となる事が多いと思います。

一方、一般歯科も行っているクリニックであれば、そのクリニックで対応してもらえる場合もありますので、直接聞いてみるとよいでしょう。

ただし、矯正治療中に虫歯になると、ワイヤー矯正の場合、装置についているワイヤーを一旦外し、矯正治療を一時中断する場合が多いです。
中断すると、その場で歯が止まっているわけではなく、歯は自然と少し後戻りしてしまう事がほとんどです
そのため、再開しても数か月前の状態に戻って、その状態から再開となるため、時間のロスとなってしまいます。

マウスピース矯正の場合には、ほとんど装置がついていないため、そのまま虫歯治療をする事も可能ではありますが、場合によっては歯の形が変わってしまうため、今まで装着していたマウスピースが合わなくなってしまう場合があります
合わなくなるとマウスピースは再度作製が必要になり、この場合も次の新しいマウスピースが届くまで時間がロスとなってしまいます。

矯正治療中でも虫歯治療できるからいいや、と歯磨きを適当にするのではなくできる限り虫歯にならないようご自身でもブラッシングを頑張っていただくのがよいですね。

また、可能であればワイヤー矯正の場合はワイヤーがついたままの状態、マウスピース矯正であればそのまま現在のマウスピースを使用続けられるのがベストではありますので、そういった意味では一般歯科も行っているクリニックが便利でよいですね。

ただし、矯正専門のクリニックで治療を行っている方で、そのままマウスピースをつけたい、ワイヤーをそのままにして矯正治療を行いたい、とのことで一般歯科のクリニックにできるか聞いてみる事は可能かと思います。

ただし、あくまで一般歯科のクリニックで行う保険診療は虫歯があれば治療を行う、というものであり、マウスピースに合うようにとかワイヤーがついたまま、してもらえるというのはサービスとなります。
「今のマウスピースに合うように虫歯を治療してもらいたい」
「ワイヤーをつけたまま治療をしてもらいたい」
と注文するのは難しい、または治療自体を断られてしまう場合もあります。

矯正専門のクリニックで治療を受けていて、一般歯科で虫歯治療を行う場合には基本はワイヤー矯正の場合は一旦中断してワイヤーを外す、マウスピース矯正の場合は合わなくなったらまた型取りする事を了承して、治療を行うのが一般的です。

矯正歯科クリニックでは矯正中に虫歯になった事を教えてくれない?

そもそも矯正治療で毎回の調整に行くときに虫歯になっていたら教えてくれるのでしょうか?

前述しましたように、矯正専門のクリニックでは先生自体が虫歯の治療経験がほとんどない場合があり、その場合には虫歯かどうかを判断できない場合があります
また、治療経験が多くないと見つけるのが難しい虫歯もありますので矯正歯科の先生に矯正治療を受けながら毎回虫歯ができていないか確認してもらう、というのは難しい場合も多いです。

また、判断や治療が可能な先生であっても、先生が一人または数名で助手さんや衛生士さんがほとんど全ての処置を行う矯正歯科クリニックの場合には、先生が一人の患者様にさける時間がきわめて少ないので、毎回虫歯があるかどうかをみてもらうのは難しいでしょう

同じように一般歯科を行っているクリニックでも、先生が一人または数名で助手さんや衛生士さんが多くの処置を行うクリニックであれば同じ事が言えます。

難しいですが、一番よいのは一般歯科も経験のある先生で、マンツーマンで治療を行ってくれるクリニックや同時間帯に少人数のみ対応しているクリニックとなります
その場合には、虫歯があったり磨き残しがあった場合には指摘してもらえたり、時間があればその日に治療を行ってくれる場合もあります。

一般歯科に矯正専門の先生が出入りしているクリニックでも
「虫歯はないですか?」
と矯正治療の診療の時に質問をすると、一般歯科の先生が変わって診てくれる場合もあります。

まとめ

本日は矯正治療と虫歯について質問が多い事をまとめて解説していきました。

まず、矯正のカウンセリングや相談ですが、一般歯科も行っているクリニックであれば、虫歯の部分の治療方法も見当がつくため、治療前に矯正相談に行ってもよいのですが、矯正専門のクリニックであれば、矯正専門の先生は虫歯治療の経験が少ない場合も多く、虫歯の進行状況がわからない場合もあり、できれば全て虫歯治療を済ませてから行った方がよいという内容でした。

次に虫歯のまま矯正治療を続けられるかというお話ですが、小さい虫歯であれば治療しないでそのまま矯正を行う事もあり、虫歯の進行の早さや虫歯の大きさによっては虫歯治療しないで矯正を続ける事も可能ですよ、という事です。
しかし、虫歯がおおきくなると神経をとったり抜歯をしなければいけないので大きい虫歯は早く治した方がよいですね。

矯正中の虫歯へのなりやすさのお話ですが、表側矯正は装置の周囲に虫歯ができやすく、マウスピース矯正は歯と歯の間に虫歯ができやすいです。裏側矯正は比較的虫歯はできにくいですが、虫歯にならないわけではないので矯正の種類にかかわらずしっかり磨きましょう。

矯正中に虫歯になった場合ですが、一般歯科も行っているクリニックですと同時に治療ができたりする場合もありますが、矯正専門のクリニックですと一旦矯正を中断して虫歯治療を優先する事となります。最後に矯正歯科は治療中虫歯を診てくれるかどうか、という事ですが、先生が忙しいクリニックや虫歯の治療経験が少ないクリニックは矯正治療中、虫歯を毎回チェックするのは難しいという事でした。

札幌やその近郊で矯正歯科をお探しの方。
虫歯になってもすぐ診てもらえる矯正歯科をお探しの方は大通駅、地下鉄西11丁目駅、徒歩県内のねもと歯科クリニックでも無料カウンセリングを行っておりますので、矯正相談お待ちしております。
ねもと歯科クリニックでは低価格で矯正治療をご提供しながら、マンツーマンで院長がワイヤー交換からマウスピースのチェック、クリーニングまで行うクリニックとなっております。
現在は矯正歯科が患者様の90%以上となっておりますが、一般歯科も行っているクリニックとなりますので、場合によっては矯正の調整日に虫歯治療も同時に行う事ができます。
(虫歯の大きさによっては難しい場合もあります。)
虫歯になった場合もご指摘し、治療まで行えますので、是非虫歯になっても同時に治療可能な矯正歯科をご検討の方はご相談、ご連絡下さい。


ねもと歯科クリニック|札幌・大通りエリアの矯正歯科
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